令和3年度行政書士試験解説

行政書士試験解説

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問題1

令和3年(2021年)問題1 /アは、文脈から目的刑論に対立する考え方であること、善因には善果、悪因には悪果とあるので因果応報の発想に基づく理論と推測できることから、応報が入ると判断できる。イは、社会と国家どちらも入りそうなので保留する。ウは、目的刑論の説明だから、客観性に着目して累犯が入ると推測できる。ここで5が正解と判断できる。エは、刑法に仮執行は馴染まないから、執行猶予と判断できる。

問題2

令和3年(2021年)問題2 /1は判断困難。2も判断困難。しかし、1と2は同趣旨だから、両者正解だと正解が2つになってしまうので両者とも誤りと推測しておく。3は誤りと判断できる。4は特別法が優先するのが原則だから誤りと判断できる。5は時限法が想起できれば正解と判断できる。なお、1について、法律は公布から直ちに施行できる。2について、施行期日を定めないときは、公布の日から20日を経過した日から施行する(法の適用に関する通則法2条)。

問題3

令和3年(2021年)問題3/1は生命身体の問題なので当然補償すべきと考え妥当と判断。2は予防接種禍を国賠で救済する場合の困難を指摘しており妥当と判断。3は1が妥当ならこちらも妥当と判断。妥当でないものは1つしかない。4は国賠で救済する考え方があるため妥当でないと判断できる。5は1が妥当なら妥当と判断できる。なお、5つの中で4だけ立場が異なること、余地はないとの言い切り型であることからも推測して正解可能。

問題4

令和3年(2021年)問題4/1は京都府学連事件(最大判昭44.12.24)を想起できれば妥当でないと判断できる。2はGPS捜査に関する判例(最大判平成29.3.15)を想起、または憲法35条及び令状主義の観点から私的領域を広く考えるべきと思考できれば妥当と判断できる。3は判例(最決平11.12.16)を想起、または電話傍受が捜査として人権侵害の度合いが大きいことを意識すれば、それ以外の方法があっても広く許容されるというのは妥当でないと判断できる。4はオービスの判例(最判昭61.2.14)を想起、または撮影が許容される以上除外できない同乗者を撮影しても致し方ないと考えれば妥当でないと判断できる。5はGPS捜査に関する判例(最大判平成29.3.15)を想起、またはGPS捜査は通信データを駆使することから、公道上肉眼で把握するのとは異なり公権力による私的領域の侵害といえると考えれば妥当でないと判断できる。総評として個々の判例を記憶していなくとも、肢2は毛色が異なることから正解可能。

問題5

令和3年(2021年)問題5/「考慮要素とされたものの例」という問題文の記載を見落とさないことが最重要。その観点から正解は3と5に絞ることができる。3は「儀礼」の文言から津地鎮祭事件(最大判昭52.7.13)に関連することと推察し、5は「氏子」の文言から空知太神社政教分離違反事件(最大判平22.1.20)に関連することが分かり、土地の無償提供とは直接関係のない3が正解と判断できる。

問題6

令和3年(2021年)問題6/ 問題文から国会の権能に関する問題であることは分かるが、正解の見当はつかない。1を見ると国会中心立法、国会単独立法の説明がともに不正確であると判断できる。ここで両者の概念の説明に関する問題であることが想起できる。2はイが妥当でないと判断できる。3もイが妥当でないと判断できる。4はどちらも正しいと判断できる。なお、4と5を比較すると、命令等の委任立法は認められるから5は妥当でないと判断できる。

問題7

令和3年(2021年)問題7/冒頭では見当がつかない。アの説明を読むとイニシアティブではないからレファンダムだと予測できる。イは補完とあるから国民発案と予測できる。イとアは連動しているためまだ判断できない。ウは罷免とあるので解職投票と予測できる。ここで5が正解と判断できる。エは選挙とあるから代議制、同じ論理展開でオは直接民主制と確認することができる。

問題8

令和3年(2021年)問題8/1は行政計画は変更されることがあるのは当然とされる判例(最判昭56.1.27宜野座村工場誘致事件)を想起できれば妥当でないと判断できる。2は租税法規は原則として法的安定性を優先すべきだが特別な事情があれば違法となるという論理を想起すれば妥当でないと判断できる。3は行政権の著しい濫用があれば処分が違法となると考えれば妥当でないと判断できる。4は行政の画一性を優先すべき場面といえるので妥当と判断できる。5は国が公務員に対して安全配慮義務を負うのは当然と考えれば妥当でないと判断できる。消去法によっても正解が可能。

問題9

令和3年(2021年)問題9/アは裁量の範囲内と考えられるから妥当と判断できる。イは裁判所が判断できると考えるのが通常だから妥当でないと判断できる。ウは裁量の余地はないと考えられるから妥当と判断できる。ここで1が正解とすることができる。2と比較するためオを確認すると、集会だからといって目的外使用を許可しなければならないとするのは妥当でないと判断できる(最判平18.2.7呉市学校施設使用不許可事件)。なお、エは基準の改定に大臣の裁量が及ぶと考えられるから妥当でないと判断できる。

問題10

令和3年(2021年)問題10/委任命令について、委任の範囲を超えるかどうか、その判断基準はどのようなものか、判例の知識を問うもの。1は利子の利率のような経済状況によって変わりうるものは政令に委任されるべきものの例であると思い至れば妥当でないと判断できる。2は旧監獄法施行規則が委任の範囲を超えて無効とする判例(最判平成3.7.9)の知識によって妥当と判断できる。3は委任の範囲の判断基準において、立法過程の議論や諸規定を考慮に入れないとしている点から妥当でないと判断できる。4は児童扶養手当法施行令が委任の範囲を超えて無効とされた判例(最判平14.1.31)を想起すれば妥当でないと判断できる。5は銃砲刀剣類登録を日本刀のみに限定した規則は委任の範囲を逸脱しないとするサーベル事件(最判平2.2.1)を想起すれば妥当でないと判断できる。なお、1の利率のような細かい変数、5のような当該分野の専門的判断を要するものは政令や規則に委ねるべきものと考えてよい。2と4は知識として備えておく必要のある判例。

問題11

令和3年(2021年)問題11/1は条文通りで正しい。ここで解答してもよいが、確認のため以降を見ると、2は条文からすれば、他の行政機関が定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときは実施不要なので誤り。3は廃止時は不要なので誤り。4は意見公募手続を実施したが命令等を定めない場合は公示の必要があるため誤り。5は意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合はその理由を公示しなければならないため誤り。3から5は条文そのものを記憶していなくても、公正の確保、透明性の向上、意思形成過程の国民参加という目的から推察することができる。

問題12

令和3年(2021年)問題12/1は迷いが生じるので保留。2は「客観的指標」で不適合が明らかときは「求めがあったときにこれを示せば足りる」との規定と混同せず違和感を覚えれば妥当でないと判断できる。3は規定通りなので妥当と判断できる。ここで回答可能。4は根拠規定を示すだけでは足りず「どれに該当するか」了知しうるものでなければならないとの判例(最判平4.12.10)を想起できれば妥当でないと判断できる。5は4ど同様に妥当でないと判断できる。なお、理由の提示は不利益処分と申請拒否処分で概ね同様の定めがなされている。

問題13

令和3年(2021年)問題13/アは根拠規定があるかどうかに関わらず不利益取扱は禁じられるべきだから誤りと判断できる。イは条文通りなので正しいと判断できる。ウは処分等の求めの制度だがこれに対して行政機関が諾否の応答をすべきとはされていないから正しいと判断できる。ここで正解を出せるが、エも検討すると地方公共団体の行政指導は全て適用除外となるので(行政手続法3条3項)誤りと判断できる。

問題14

令和3年(2021年)問題14/1は本案に理由がないとみえるときは執行停止をしなくてもよいので誤りと判断できる。2は事情が変更したときは職権で執行停止の取消しができるので誤りと判断できる。3は行政不服審査法40条に規定されており正しいが、やや判断が困難。4は同法61条で再調査の請求においても執行停止の条項が準用されているので誤りだが、やや判断が困難。5は処分庁の意見を聴取したうえで執行停止できるので誤りだが、やや判断が困難。3と4と5を比較して、4は再調査の請求も不服申立てであるから執行停止は準用されると推察でき、5は執行停止の途が閉ざされないよう手段があるものと推察できるから、消去法で3が正しいと判断することができる。

問題15

令和3年(2021年)問題15/1は再調査の請求は審査請求をするとできなくなるので正しい。他の肢も確認すると、2は再調査の請求についての決定を経た後でなければ審査請求できないので誤りと判断できる。3は不作為は再調査の請求の対象にならないこと(審査請求の場合とは異なる)、また見直しを求める制度だから誤りと判断できる。4は行政不服審査会等への諮問は再調査の請求には準用されておらず、見直しを求める制度だから諮問には馴染まないと推察できるから誤りと判断できる。5は口頭意見陳述の機会は再調査の請求に準用されており機会を与えなければならないと規定されているから誤りと判断できる。なお、知識を整理すると、審査請求をすると再調査の請求はできなくなる(行政不服審査法5条1項但書)、再調査の請求についての決定を経なければ審査請求できない(同条2項本文)、不作為は再調査の請求の対象にならない(審査請求とは異なる)、行政不服審査会等への諮問(審理員意見書の提出を受けて審査庁が諮問しなければならないとする同法43条1項柱書)は再調査の請求には準用されていない(同法61条)、口頭意見陳述(審査請求人と参加人の申立てにより機会を与えなければならないとする同法31条1項から4項)は再調査の請求に準用されている(同法61条)。

問題16

令和3年(2021年)問題16/アは無効確認は行政事件訴訟法の制度だから誤りと判断できる。イは審査請求が書面審理が原則だから正しいと判断できる。この時点で2を解答とできるが以降も確認すると、ウは不利益変更禁止の原則から正しいと判断できる。エは異なることとなった理由も含めて記載しなければならないから誤り(行政不服審査法50条1項4号)。オは執行停止の申立ては審査請求人でなければできないので誤りと判断できる。なお、これと比較して審理手続においては参加人が申立てできる場合がある。

問題17

令和3年(2021年)問題17/アは執行停止の条文だから重大な損害が入ると判断できる。イは無効等確認の訴えに関する条文だから損害が入ると判断できるが、念のため、ウを確認すると現在の法律関係が入ると判断できる。ここで正解が判断できるが、エとオも確認すると非申請型義務付け訴訟の条文だから重大な損害及び損害が入ると判断できる。

問題18

令和3年(2021年)問題18/1は国または公共団体を被告とするので誤り、2は「被告の」だから誤り、3の場合は当該行政庁となるので誤り。少なくとも法務大臣ではないことは判断できる。4は第三者の訴訟参加は職権で可能なので正しい。なお、行政庁の訴訟参加も裁判所の職権で可能である。5は自由選択主義であるから誤り。4自体の正誤を判断できなくても、消去法で正解できる。

問題19

令和3年(2021年)問題19/1は周辺住民には特急料金改定につき原告適格は認められないから(最判平元.4.13)誤り。2は研究者には史跡の指定解除処分につき原告適格は認められないから(最判平元.6.20)誤り。3は消費者には商品表示の認定の取消しにつき原告適格は認められないから(最判昭53.3.14)誤り。4は空港の周辺住民には定期航空運送事業免許の取消しにつき原告適格が認められるため(最判平元.2.17)正しい。5は周辺住民には都市計画事業認可の取消しにつき原告適格が認められるから(最判平17.12.7)誤り。なお、侵害度合いの大きさを意識すれば4,5は原告適格を認めるべき事例と判断できる。

問題20

令和3年(2021年)問題20/アは失火責任法は失火の場合には重過失の場合を除いて民法の損害賠償の規定の適用を排除するものだから特則と判断できる。イは法律は法典に限られないから民法の一部分と考えて含まれると判断できる。ウは公務員の場合を特に除外する理由はないとの趣旨なので排除すべき合理的理由はないという文章になる。エは国家賠償法4条が民法の規定によると定めているから民法が適用されるという説明であり、オは失火責任法が適用される以上は重過失を要するから必要とするが入る。なお、アの判断は迷うがそれ以降の組み合わせで正解できる。

問題21

令和3年(2021年)問題21/アは石綿の健康被害なので国家賠償法規制権限の不行使が違法との判断ができる。イもアと同様に判断できる。ここで1が正解とできるが、ウは宅建業法に関する事例なので規制権限の不行使はただちに違法ではないといえる。エは水俣病の健康被害に関する事例なので規制権限の不行使は違法であるから妥当でないと判断できる。

問題22

令和3年(2021年)問題22/アは条例主義(地方自治法244条の2第1項)から正しいと判断できる。イは同法244条の4第1項に規定されているが、行政不服審査法の知識から妥当でないと推測できる。ここで選択肢の構成から2が正解とすることもできる。エは同法244条3項及び最判18.7.14から正しいが、記述そのものから正しいと推測できる。ウは議会の議決が必要(同法244条の2第2項)であり、少なくとも総務大臣の承認が必要とは考えにくいので妥当でないとの推測もできる。

問題23

令和3年(2021年)問題23/1は憲法95条の地方自治法特別法についての記述。住民投票の過半数が要件だから誤り。2は条例で刑罰を定めることができるので誤りと判断できる。なお、地方自治法14条1項から法定受託事務についても条例を制定できる。3は長の規則で罰則は規定できないから誤りと判断できる。4は長に議案提出権があるので(同法149条1号)条例案を提出することはできると考えられる。5を見ると直接請求の条例制定改廃請求は地方税の賦課徴収に関するものはできない(同法12条1項かっこ書、74条1項かっこ書)から正しい。地方自治法の重要な知識を組み合わせれば正解は可能。

問題24

令和3年(2021年)問題24/アは解散後に招集されて再度不信任議決の場合だから長は失職するので誤り(地方自治法178条2項)。イは特別再議の場合なので再議に付さなければ「ならない」ので誤り(同法176条4項)。ウは議長が請求しても長が20日以内に臨時会を招集しない場合に議長が招集できる(同法101条5項)から正しい。エは議会の開会時であっても議決しないときは専決処分ができる(同法179条1項本文)から誤り。オは地方公共団体の議会の解散に関する特例法2条1項により可能であるため誤り。なお、長の不信任議決、長の再議請求権の基本知識でアとイが誤りであることは判断でき、長の専決処分の基本知識でエが誤りであることも判断できる。ウも議会の招集の基本知識で判断できる。地方自治法の細かい知識だか重要論点の基本知識を備えておけば正解は可能。

問題25

令和3年(2021年)問題25/1は通達が法規の性質を持つとしている点で誤り。2のような場合であっても通達が法規の性質を持つものではないからこれも誤り。3は通達のと整合性によって処分の効力が左右されることはないはずと考えれば妥当と判断できるが、この判断は難しいので、4を見ると通達が受忍義務を課すとは考えられないから誤り。5は通達には処分性がないので訴訟要件を欠くこととなり却下判決がなされるから誤り。一見して3が正解とは断じにくいが、消去法で判断することはできる。

問題26

令和3年(2021年)問題26/アは憲法の判例の知識(エホバの証人剣道受講拒否事件・最判平8.3.8)で校長の裁量権そのものは認められるから妥当と判断できる。イは本来の用法であれば本来の利用者でなくとも設置管理者に国家賠償責任を認められるから妥当でないと判断できる。ここで、2を正解とすることができるが、念のため、ウを見ると特定の小学校で教育を受けさせる権利が保護者に認められることまでは法的利益として保障されていないと推察できるから妥当でないと考えられる。エは県が市に求償することができるから(最判平21.10.23)妥当と判断できる。

問題27

令和3年(2021年)問題27/細かい知識の難問。1は、内容証明郵便が返戻された場合でも到達したと認定した判例(最判平10.6.11)からして妥当でない。なお、到達を妨げたとき(民法97条2項)及び受領を拒絶した場合に到達が擬制される点は正しい。2は同法98条3項の通りだから妥当である。3は民法の原則が到達主義であるから(同法97条1項)妥当でないと判断できる。4は、契約において申込後に申込者が制限行為能力者となった場合に相手方がその事実を知ったときは、申込が効力を有しないので(同法526条)、取り消すことができるというのは妥当でない。5は、受領能力を有しないのは意思無能力、未成年者、成年被後見人であり、被保佐人や被補助人も含む制限行為能力者としている点で妥当でない。2が条文通りなので、これを妥当と判断できれば正解できるが、4や5を正確に判断することは困難。

問題28

令和3年(2021年)問題28/1は民法28条と同法103条から正しい。2は同法25条から正しい。3は同法26条から正しい。4は、普通失踪の場合は7年間の期間が満了したときに死亡とみなされるから誤り(同法31条)。宣告のときではない。5は正しい。失踪の知識があれば4が誤りと判断できる。

問題29

令和3年(2021年)問題29/1は、物権的請求権の相手方は「現に妨害を生じさせている者」が原則(最判昭35.6.17)なので建物所有者のCとなりそうだが、「自らの意思に基づいて登記名義を取得し引き続き保有する場合」は(本件Bの場合)、建物収去・土地明渡の義務を免れないので(最判平6.2.8)、妥当である。2は、前記1の原則の場合なので義務を負うのはFであるから妥当。3は、抵当権の及ぶ範囲内なのでもとに戻すことを請求できるから妥当。4は、抵当権に基づく妨害排除請求が認められる判例(最判平17.3.10)からして妥当。5は、動産の所有権留保において、留保権者は弁「済期後」でなければ撤去義務等を負うことはない(最判平21.3.10)から、妥当でない。留保権者の撤去義務や不法行為責任が弁済期の前後によって左右される知識があれば正解できる。

問題30

令和3年(2021年)問題30/1は基本的な知識で妥当でないと判断できる。2は、「ただちに消滅」ではなく、「消滅を請求することができる」(民法298条3項)とされているので妥当でない。3は、不法行為による占有と同様として、同法295条2項類推適用により、留置権の行使は認められないので妥当。4は残債務があり牽連関係も認められるから留置権が成立するから妥当でない。5は建物そのものに生じた債務ではなく牽連関係がないから留置権は成立しないので妥当でない。2の「ただちに」違和感を覚え、4の留置権が勝ることが分かれば正解できる。

問題31

令和3年(2021年)問題31/難問。アは金銭債務の特則により損害の証明を要しないから(民法419条2項)、妥当。イは損害の証明を要しないとする金銭債務の特則の裏返しとして更なる損害賠償を制限すべきとする判例により、妥当でない。だが、これを判断するのは困難。ウは、金銭債務の特則により債務者は不可抗力を抗弁とできないから(同法419条3項)、妥当。アとウが妥当なので正解を導くことは可能だが、エを見ると、不確定期限の場合、期限の到来後に履行請求を債務者が受けたとき又は期限の到来を債務者が知ったときのいずれか早い方から遅滞となるので(同法412条2項)、いまだ遅延とはなっておらず妥当でない。オは、期限の定めのない債務は請求を受けたときから遅滞となるから(同法412条3項)、遅滞となっており請求できるので妥当。

問題32

令和3年(2021年)問題32/1は形成権も対象なので誤り。2は期限の到来が必要なので(民法423条2項)誤り。3は引渡しを自己に求めれられるので(同法423条の3)誤り。4は債務者が自ら取り立て等をしてもよいので(同法423条の5前段)誤り。5は相手方は債務者に履行してもよいので(同条後段)正しい。

問題33

令和3年(2021年)問題33/アは「甲建物の引渡債務」の債権者はBであり(危険負担では何の債務が履行不能になったのか、その債務の債権者は誰かを検討)、債権者は反対給付の履行を拒むことができるため(民法536条1項)、代金支払義務を拒める。よって誤り。イは損害賠償請求は妨げられないから(同法564条)正しい。ウは減額請求には原則として追完の催告が必要だから(同法563条1項)誤り。エは買主に帰責事由があるときは代金減額請求ができないから(同法563条3項)誤り。オは1年以内にしなければならないのは通知であるから(同法566条)誤り。イ以外の4つは誤り。

問題34

令和3年(2021年)問題34/1は妥当。2は疾患に当たらない場合であるから妥当。3事理弁識能力で足りるので妥当、責任弁識能力までは必要ない。4は名誉は客観的評価だから妥当、名誉勘定までは必要ない。5は地域特性等を考慮すべきだから妥当でない。

問題35

令和3年(2021年)問題35/アは法定相続分は登記なければ対抗できないので(民法899条の2第1項・2018年改正)誤り。イは配偶者が無償で居住していた場合は配偶者短期居住権が認められるので(同法1037条1項1号)誤り。ここで選択肢が4、5に絞られるので、エを見ると審判によって配偶者居住権を与えることができるから(同法1029条2号)正しい。ここで4を正解とできるが、オを見ると所有者は登記具備の義務を負い(同法1031条)、共同申請とされているから誤り。ウは建物が共有の場合は配偶者居住権が認めらないから(1028条1項但書)正しい。

問題36

令和3年(2021年)問題36/ウは営業として行わなければ商行為とはなないと考えられる(商法502条6号、営業的商行為)。この時点3と4に絞り、オを見ると取得予定の動産を売却しており供給契約に当たるから絶対的商行為(同法501条2号)。ここで4を正解と判断できる。なお、アは譲渡する意思の有償取得だから絶対的商行為(同条1号)、イは加工して譲渡した場合も同条1号に含まれるから絶対的商行為。エは賃貸なので同法502条1号の営業的商行為。

問題37

令和3年(2021年)問題37/1は現物出資の財産価額填補責任の免責(会社法52条2項)だから正しいと判断。2は出資の履行を仮装した場合に全額の払込み又は給付(同法52条の2第1項)だから正しいと判断。3は設立の任務懈怠による損害賠償責任で(同法53条1項)、発起人・設立時取締役・設立時監査役が負うものだから正しいと判断。4は設立における対第三者責任で、これには悪意又は重過失を要するから(同法53条2項)誤り。この知識があれば判断できる。5は連帯債務者となるから(同法54条)正しい。

問題38

令和3年(2021年)問題38/細かい知識の問題。1は、株券発行会社の場合には株券の交付が必要だが(会社法146条2項)、株券不発行会社の場合には特段要式行為は不要なので誤り。2は同法148条から誤り。3は譲渡ではないから誤りと判断できる。4は同法158条1項8号の知識。剰余金の配当がなされた場合、質権者は金銭等に物上代位権を及ぼすことができるから正しい。5は株主ではないのだから誤りと判断できる。

問題39

令和3年(2021年)問題39/アは令和元年改正前の会社法327条の2の規定であり、現行法では規定されていない。本肢は判断困難。イは監査役会設置会社の監査役は3人以上・半数以上は社外監査役(同法335条3項)で正しい。本肢は判断可能。ウは監査役会設置会社で公開会社・大会社・有価証券報告書提出会社(上場会社)は社外取締役設置義務があるが人数は1人でもよいので(同法327条の2)誤り。本肢は判断困難。エは監査等委員会設置会社は監査等委員として3人以上の取締役、その過半数は社外取締役の設置義務があるので(同法331条6項)正しい。これは判断可能。オは指名委員会等設置会社が指名・監査・報酬の委員は3人以上で過半数が社外取締役の設置義務があるので(同法400条3項)正しい。本肢は判断可能。イ・エ・オが正しいと判断できれば正解可能。

問題40

令和3年(2021年)問題40/アとイは難解で後回し、ウは会社法458条により正しい。選択肢の組み合わせを利用し、オは同法461条1項8号により誤り。ここで消去法により1が正解と導ける。なお、アは同法445条4項により正しい。アとオを比較することによっても正誤を判別できる。イ、同法454条1項1号括弧書により自社株は配当財産とはできないが親子会社株はできるので誤り。エ、原則は株主総会決議だが会計監査人設置会社は取締役会でも可能(同法459条1項)、中間配当は取締役会設置会社であれば可能(同法454条5項)、配当の決定権限を取締役会とする例外があるとの知識があれば誤りと判断できる。

問題41

令和3年(2021年)問題41/アとイは後段にもあるので後回し、ウは事実認定と刑の量定の間の手続だから19法令の適用と判断できる。エは裁判員制度だから16評決(判決ではない)。アは難問、裁判官がその諸原則を保障、裁判官が担い手となるもの、裁判員制度に関わることからして20刑事裁判(司法権ではない)。イは憲法37条1項の文言を起想し公平な13裁判所と判断できる。

問題42

令和3年(2021年)問題42/アは直接強制との比較で6即時強制。イ、懲役に類似する制裁、刑事法の適用、100万円以下なので1罰金(科料ではない)。ウ、制裁として科されるものであり、刑事法が適用されるので12行政刑罰(執行罰や秩序罰ではない)。エ、行政刑罰が制裁として重すぎるとの批判を受けたので、(刑事罰より軽い制裁として、非訟事件または行政行為の形式で科される)2過料が入る。

問題43

令和3年(2021年)問題43/アは判例(一級建築士免許取消処分等取消請求事件、最判平23.6.7)の文言のまま9慎重が入る(適法性ではない)。判例要旨に触れて想起できるようにしておくとよい。イは17不服の申立て、ウは13処分基準(審査基準ではない)、エは6意見公募の手続が入る。イウエは判断できる。

問題44

令和3年(2021年)問題44/行政手続法(以下、「行手法」)36条の2第1項の「行政指導の中止等の求め」が想起できればよい。同項は根拠が法律に置かれているものに限るとされており(同項括弧書)、本件は学校教育法15条1項に基づく勧告だから、これに適合する。行手法2条6号の例示には指導、勧告、助言とあることから、「本件勧告は行政指導に該当し、」行手法36条の2第1項は相手先を行政機関としているので、「文部科学大臣に対して、」となり、「行政指導の中止の求めができる。」とすればよい。

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